2024年萬葉学会1日旅行 その1

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先週の週末は恒例の萬葉学会1日旅行。藤原宮跡を中心に歩いた。集合の場所は近鉄畝傍御陵の駅。例年ならば…10時頃に集まり、昼食を挟んで3〜4時頃まで歩くって感じなのだが、今年は集合が12:30、そんでもって17:00が解散予定。その解散場所が大和八木駅というから、私は、「さては…」と予感した。

大和八木駅周辺は奈良の中南部では最大の繁華街。暑い中を歩き回った跡、ビールで喉を潤すのに何一つ不自由のない地域である。

予感があたったのかどうかは後に回すとして、とにかく、私は集合場所の畝傍御陵前の駅で電車を降りる。

すると、前を歩く見覚えのあるお顔、M田先生だ。おそらくは学生と思われる若い方とご一緒である。先生の後を追うように地下道を抜けて駅の外に出る。3、40人の人だかりがすでにできていた。今回は若い人の比率が高いような気がする。そんでもって、その若い方が、先生方の指示を受けて本日の資料を配ってくれていた。

その資料の1ページ目、大和三山畝傍山・耳成山・天の香具山まつわる歌と文章が載せられている。「大和三山」とはよく聞く言葉なのであるが、文献資料に3つの山の名が揃い踏みするのは、古い時代のものでは次の4つだけなのだという…

三山の歌(萬葉集巻一/13.14.15)

藤原宮の御井の歌(萬葉集巻一/52.53)

播磨国風土記(揖保郡上岡里)

…出雲国の阿菩大神、畝傍・香具山・耳成の三つの山、相闘ふと聞きたまふ

日本後紀(延暦二四年十二月二二日)

大和国の畝傍・香具山・耳成などの山は、百姓、意の任に抜損す。

そんなものだったかな思ったものの、思い返してみても思い当たらない。個々の山の名は他に思いつくものがいくつかあるが、三つまとめてとなると…

てなことを考えているうちに、代表のあいさつが始まった。学会代表の鉄野先生である。先生はそのご挨拶のついでに一冊の本を紹介された。

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秋本吉徳著/鉄野昌弘補『播磨国風土記全訳注』である。詳細は玉村の源さんのお書きになったものを参考にしていただきたいと思うが…

 秋本吉徳著/鉄野昌弘補『播磨国風土記全訳注』(講談社学術文庫)がこの5月14日...
先生は、あいさつの中でこれまで風土記にはあまり触れたことはなく、今回をきっかけに勉強し直しをさせていただいた…とおっしゃっていたが、その「あまり触れたことがなく」はもちろん、あまりあてにはならない。私の「あまり触れたことがなく」というのと全く違うものなのだということは明らかである。

私の「あまり触れたことがなく」は、もちろん額面通りにお考えていただいてさしつかえない。

そりゃあ、私だって少しは上代の文学を勉強したことがあるのだから、書架にも風土記はあることにはある。岩波の古典大系のものである。

学生の頃に古本屋で購入したこの本を開いたのは…無理に思い返してみても、指を折って数えることができるほどである。せっかくこのような本を紹介いただいたのだから、今度は他の国のものを含めてちゃんと読んでみたいと思う。

続いて本日の案内役の先生先ほどのM先生のご挨拶のご挨拶。そして、そのご挨拶の終了後、最初の目的地である本薬師寺に向かう。

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コメント

  1. 玉村の源さん より:

     まほろばをご紹介くださり、ありがとうございます。
     岩波の大系本風土記の校注者である秋本吉郎氏は、秋本吉徳先生のお父さんですね。親子2代にわたる風土記研究というのもすごいことと思います。

    • sanpendo より:

      源さんへ

      >親子2代にわたる風土記研究と…
      そうですね。
      そういえば…私のお世話になったH矢先生も親子二代にわたっていますし、O浜先生も親子二代にわたって萬葉集の研究をなさっていますね。

      • 玉村の源さん より:

         確かに。
         やはり影響を受けるのでしょうかね。
         本もたくさんあるし。
         金田一さんとこは三代ですね。
         家学のように。

  2. sanpendo より:

    源さんへ

    家に本があるってのは、結構重要な要素ですよね。
    まあ、うちの息子の場合、それを手に取るようなことは有りませんでしたが…(笑)